日常お宝探検隊

30代独身理系男子が、幸福の最大化を目指して努力するけどそもそも方向性が間違ってるブログ

エジプト-イスラエル旅行記vol.1

旅の行き先

 2023年8月。仕事で長年関わってきた大きなプロジェクトがほぼ完了し、ブラック社畜生活が一旦終了したタイミングで、僕はコロナの明けた盆休みを利用して旅に出ることにした。

 行き先はエジプト。アフリカ大陸に行きたかった。そして、ピラミッドを見たかったし、ラクダに乗りたかった。コロナ期間中に書いていた死ぬまでにやりたい事リストの中に、そういう件(くだり)があったのを思い出したからだ。しかし今回のタイミングに、誰も口にはしないが、高度に空気を読んでみると、通常の盆休みにプラスして、有給をもう一週間追加できそうな機運を感じていた。

 地球の歩き方を見ても、エジプトの主要の観光地をゆっくり回ってもせいぜい1週間で十分。もう一カ国くらい、アフリカ大陸の国を旅してもいいのかもしれない。

 しかし、外務省の渡航状況を見ても、アフリカ大陸はどこも危険を示すイエローからレッドゾーンでキレイに塗り潰されている。比較的、治安が良さそうなモロッコは地理的に離れすぎていて、旅の連続性みたいなものが途切れる気がした。

 そして世界地図を見ていると、アラビア半島の根本に小さく出っ張った、控え目な大きさのシナイ半島が目に入る。今はエジプトの領土ではあるが、シナイ半島を抜ければ、そこはイスラエル。アフリカ大陸からは出てユーラシア大陸に戻ってしまうものの、いつもニュースで中東のテロだの領土問題などを耳にしては、今ひとつ、いや何ひとつ歴史や土地、紛争問題の焦点が頭に入ってこなかったユダヤ人の国。

 イスラエル。ここだ。

 こんな感じで、今回の旅の行き先は、出発の10日くらい前に適当に決まったのであった。

図書館で借りたガイドブックたち

会社の休み方

 出発の一週間前、全ての予定を立て、飛行機・ホテル・現地ツアーなど、1日でほぼすべての事前予約を手早く、しかし気合いで済ませる。旅人歴10年超、コロナ禍でブランクはあるが、旅行準備は達人の域にある感もあるが、いつになっても余裕をみたスケジューリングができないのは、もはやに業の域であるのか。

 旅行準備には、色々な迷いがある。

 本当にこんな無茶苦茶な日程で旅行出来るのか?天気などは大丈夫か?休みをこんなに取って大丈夫なのか?こんな時、僕は最初に最も高額の航空券をキャンセル不可で予約する。それまでにあった不安や迷いは全て吹っ切れ、自分の旅人としてのスイッチが入り、テンションMAXで覚悟が決める。

 そうして全ての予約をした週明け、上司に電話で「盆休み、一週間延長します」と伝える。2言、3言交わした後、「これは相談ではなく、報告です」と言い放ち、休みが確定するに至った。長期連休の後、僕の席が消滅していようと構わない。今の僕はサラリーマンではなく、航空券を持った旅人なのだ。少なくとも旅行が終わるまでは。

直前の格安航空券のトランジット祭り

 当然、僕が買う航空券など、価格重視に決まっている。

 エジプトのカイロまでは成田からの直通があるにはあるが、僕の便は成田→カトマンズ(ネパール)→ドーハ(カタール)→カイロの2回の乗継があった。カトマンズなんて、村上春樹の小説(ダンス・ダンス・ダンスで、アメという写真家が娘のユキを札幌のホテルに置いてカトマンズに急に行ってしまう)くらいでしか印象がないが、成田から乗り合わせたネパール人と会話をしながら、トランジットで 小一時ほどしか滞在しなかったカトマンズにもいつか訪れたいという興味が出てきた。次に乗り継いだドーハは「悲劇」しか連想できないが、スポーツに疎い僕は、それがどういうことなのかも分からないまま何の感傷もなくカイロに向かうのだった。

カトマンズ空港前

ドーハ空港の中の謎の巨大ぬいぐるみ

カイロ着AM2:00

 飛行機が若干遅れ、到着は深夜も深夜であり、初アフリカ大陸上陸の感動は、疲労によってやや割り引かれていた。しかし深夜であっても、空港内でSIMは購入できるし、円をエジプトポンドにも両替できたのは有り難かった。

エジプシャンポンド!

 インドの並び称される、「世界3大ウザい国」と不名誉極まりないカイロ空港のタクシーの客引きだが、確かにまあまあウザかった。しかし、今は2023年。現地SIMを手に入れた僕は、客引き運転手を無視して華麗にUberを使い適正料金でタクシーを手配するのであった。(旅慣れてくるとトラブルを未然に回避する方法に熟達し、概して旅は面白みを欠いていくものなのだ)

深夜のカイロ空港前。血に飢えたタクシードライバーの狩場。

ホテル(部屋の間貸)着AM3:30

 なんだかんだ言いつつ、空港近くの宿まで着くのに時間がかかった。

 次の日は、夕方にエジプト南部のアスワンにフライト。時間を効率的に使い、明るくなったら車で40分程にあるギザのピラミッドを見にいこうと心に決めていた。

 しかし、こんな時間に本当に宿にチェックインなど可能なのだろうか?

 深夜のカイロの住宅街で、Google mapで指定した場所に到着したものの、まるでホテルらしい場所はない。しばらく周辺を見た後、意を決して宿に電話をした。数コールの後、ホテルの受付に繋がった。電話に出てくれたのにホッとしながら、道路まで出てきてもらうこととなり、部屋に案内してもらう事になった。エジプト最初の夜(朝)を明かす宿は、古いマンションをリフォームした部屋を間貸するスタイルの宿だった。ちなみに、貸主も同じマンションの別の部屋に寝泊りしているらしい(Airbnb方式なんだろうか?)

 すでに深夜というよりは早朝に近い時間。こんな時間にチェックインさせてくれた貸主に感謝しつつも、明日からの観光のため、早めに床に着こう・・・としたのだが。

 その後、お話好きな家主の会話が終わらず、眠りについたのは朝5:30だったのだった。

さっそく予定変更

 深夜到着して、ひと休みしてカイロの隣にあるギザのピラミッドを見て、夕方の飛行機でエジプト南部のアスワンに向かうこの計画。予想はしていたが、AM11:00くらいに起床した事により、あっさり変更を余儀なくされた。

 エジプト最終日にはカイロに戻って丸1日観光の時間は残っていたため、割とすぐに意識を切り替えることができた。ピラミッドは最後の楽しみとする!

 この日は、エジプトの初昼ごはんとしてコシャリを食べ、エジプト考古学博物館とカイロタワーに登ってビールを飲み、深夜についた空港に戻ってさっくりとアスワンに向かい飛行機に乗った。

短いマカロニ、パスタ、ご飯、豆が入った謎の料理コシャリ

カイロタワー。高い所には上りたくなるが、後悔しがち。

この先お世話になりっぱなしのステラビール

 

アスワンにて不毛なタクシー交渉

 エジプト国内線に2時間程乗り、夕方アスワン国際空港に到着した。

 空港からアスワン市内には車で40分。バスもなく、タクシーを使うしか手段はない。エジプトやインドでタクシーを交渉する事とエネルギーを浪費する事は同義。

 しかし僕にはUberがある!エジプト、余裕だぜ!!!

 

 ・・・と思っていると、Uberのドライバーが周辺で検索できない。大都会カイロと違い、まだまだ田舎のアスワンにはUber文化が浸透していなかったらしい・・・。

 たまたま同じ飛行機に乗っていた韓国人の男女に声をかけ、3人でタクシー交渉をする事になった。しかし、タクシーの数も限られているらしく、交渉を進めてもどのドライバーも同じような値段で談合しているらしく、強気の姿勢を崩さない。

 3人のドライバーと不毛な交渉をした後、僕らは諦めてボラれる事にしたのだった。

安宿inダウンタウン

 さて、アスワンで僕が予約した宿は、当然ドミトリー(同じ部屋に2段ベットなどが複数ある寿司詰め部屋)の安宿だった。タクシードライバーは、同じ市内ですぐ近くなのに、僕と韓国人らを別々の場所に降車させる事に文句を言い始めた(料金をさらにボロうとした)ため、面倒になり僕は彼らのホテル(高級)から歩いて宿に向かう事にした。

 何、たかだか10分歩くだけだ。

 そう思っていたが、夕闇の空の下、見る見る内に街の灯りは暗くなり、寂れたダウンタウンへとGoogle mapが僕を導いていく。僕の不安を他所に、薄暗い古い石造の建物の近くでは、地元の子供達が、楽しそうに遊んでいる。

(昔訪れたイランでもそうだったが、日中暑い地域の子どもは日が沈んでから遊ぶのが一般的なのだ)

 そして、物珍しいアジア人に「Hello!」とか「Look at me!」と行っては、声をかけてくる。それ自体は可愛いものなのだが、周りは完全に寂れた暗がりのダウンタウン。僕の宿はどこにあるのだろうか。。。

ディナーを求めて

 宿にチェックインしたものの、そのままゆっくりするのでもなく(腹が減っていた)、ディナーを求めて暗いダウンタウンの同じ道を引き返すことになった。どうやら、近くに食堂は全くなく、街まで戻るのに徒歩で40分ほど必要らしい。少し歩き、ダウンタウンの通りでトゥクトゥクを見つけたため交渉してみるも、トゥクトゥクでは大通りに出る事はできないため、タクシーを捕まえろ、と言われた。

 仕方なしに歩いていると、中心街になるにつれ辺りは明るくなっていく。ナイル川沿いを歩き、観光船の客引きに声をかけられながらも、エジプシャンディナーを求めてマーケットの中を歩いた。

 

 Google mapで選んだ評判の良さそうなレストランにようやく到着し、まともな食事にありつく。ケバブ

「日本人か!日本いいよな!ベリーグッド!」みたいな調子で店員に声かけられながら、エジプト料理を平らげる。当然、酒はないためストイックな食事だ。

エジプトのスタンダードなレストラン料理。

 そうして、腹を満たし、レストランを出るタイミングで急に店内が暗くなった。停電だ。料金を支払い、マーケットに出ると、通り全体が暗くなっている。聞けば、よくある事なんだとか。日本で停電が起こったのなんて、以前はいつの事だっただろうか?

日常茶飯事の停電

 帰り道は、行きとは違う暗がりのマーケットを歩きながら、割と楽しんで歩いた。珍しいアジア人だという事が暗がりでバレずに、声もかけられなかった。