エジプト-イスラエル旅行記vol.10
オリーブの丘に登る
パレスチナ自治区、死海に行くための拠点としていたエルサレムも、この日で3日目。
イスラエル北部の街「ナザレ」に移動する日であったが、午前中に時間があったためエルサレムで回りきれなかった場所を転々と見て歩いた。
新市街から城壁内の旧市街をはさみ、反対側にオリーブの丘がある。交通網の発達したバスを乗り継ぎ、丘の頂上を目指した。
(ところで、Google mapの機能拡張に驚くばかり。行き先を検索するとバスの時刻表もルート検索も、現在の運行情報すらわかるのだ。旅行のハードルは本当に年々下がっている)
何があるとも特に調べていなかったが、教会や大規模なユダヤ人墓地が、眼下の聖地に向かい広がっていた。
狭い道を歩けば、石作りの通りは美しい。
墓参りをしているだろうユダヤ教徒(ジューイッシュ)たちが路肩に狭い道に車をとめていた。
頂上に特に何かがあった訳でもなく、ピストンで降りる事にして聖地をよく見ると、イスラム教の聖地「岩のドーム」が目に入った。直接行くことは叶わなかったが、一目見る事ができて幸運な気がした。
(実際には、この日ドームまで行けば観光できたはずなのだが)
この後、バスを乗り継いで死海写本館に足を運んだが、残念ながら営業時間外で入る事ができなかった。
(併設された博物館は面白かった)
ナザレへ
エルサレム観光に思い残す事もなくなり、ナザレ行きのバスに乗り込んだ。
余談だが、このバスの中で旅行前に予約していたナザレの宿がポルトガルにある同名の町「ナザレ」と間違えていた事に気がついた。What's upによるチャットでの交渉虚しく、キャンセル費用を満額取られ、テンションはダダ下がりであった。肝心のイスラエルにあるナザレの宿はそれからでも問題なく予約できたため、泊まる場所に困る事はなかった。
ナザレは、聖母マリアが大天使ガブリエルより受胎告知を受け、イエスが幼少期を過ごした街だ。当然、観光の要所は受胎告知教会となる。
(なぜか、受胎告知教会は2つある。どうやら、異なる宗派が別々に建築したらしい)
しかし、ナザレの街はこじんまりとしており、観光出来るスポットは少ない。
午後2時くらいから観光開始するも、教会や街歩きを一通りすると、すぐに見るところを思いつけなくなってしまった。
熊のようにひたすら歩きながら、クラフトビールを飲んだり、シャワルマにかぶりつきながら、退屈していた。
刺激だ。
マスタードでは足りない、刺激が欲しいのだ。
目を血走らせながら刺激を求めて街を歩くが、どこにも心躍らせるものがない。とにかく、退屈だった。
刺激に飢えた心でホテルまで戻っていると、不意に現れた子猫に目を奪われた。乾いた胸中に一時の安らぎを得たりしながら、何だか上手く行かないナザレの夜は更けていくのだった。